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名古屋市立病院は 公立病院改革ガイドラインに先だって 平成17年7月から経営改善推進委員会を発足させ 更に中期経営プランを策定し具体的な取り組みを加速させている。


平成20年2月21日
健康福祉局長
長谷川弘之 様
名古屋市立病院経営委員会
委員長 上田龍三(名古屋市立大学病院 病院長 )


中期経営プランの進捗状況及び見直しについて(抜粋)

中期経営プラン見直しにあたり必要となる視点

中期経営プランに掲げられた具体的な取り組み事項(アクションプラン)を確実に実践していくにあたっては、新たな追加や内容の充実とともに、必要に応じた目標値の設定、変更等を行なわなければならない。

また、公立病院改革プランの策定にあたり設定することが求められている経営指標についてもあわせて盛り込むことが必要であろう。

中期経営プランの見直しのみに留まらず、市立病院の役割を継続していくために必要な視点については、その数点を次に示すが、これらの事項を確実に実施していくためには、20年4月から企業管理者に委譲される各病院長を始めとする職員の任免や給与、勤務条件などの権限が十二分に発揮されなければならない。

・ 市民の多くが充実を望んでいる小児、周産期医療を担っていく西部医療センター中央病院(仮称)や、心疾患及び脳血管疾患等の高度専門医療を担っていく東部医療センター中央病院(仮称)、並びに地域に密着した中核的病院である緑市民病院(市立病院整備基本計画に沿って)において、各々の役割分担を十分認識し、市として必要とされる二次救急体制を確実に整える。
(特に、小児、周産期医療にかかる二次救急体制の整備は、早急な対応が必要である。)

・ 平均在院日数の短縮化傾向を踏まえながら、各市立病院間及び他の医療機関との役割分担を明確にしたうえで、市立病院の総病床数の削減も視野に入れた病床数や病床稼動数の再検討を図る。

・ 市立病院における医療従事者の人数を、少なくとも同規模病院の全国規模並みにする。
・ 市立病院整備基本計画に沿って市立病院と市立大学病院の連携を強化する。(特に、緑市民病院との連携については早急に具体的な検討を開始する。)

<最後に>
各市立病院が、それぞれ地域医療に果たしてきた役割が、現在の社会状況の中で十分に果たせなくなってきていることをまず認識しなくてはならない。

産科、小児科医の減少をはじめ、医師・看護師の過重労働、それによる離職の増加、これらの悪循環に歯止めをかけ、真に求められる市立病院の役割を果たすためには、まず、出来ることから実行することと大胆な発想の転換が必要である。
市立病院として果たす役割は何かについては、既に記してきたところであるが、市立大学、愛知県、公的医療機関、そして民間病院、診療所との役割分担を整理し、そのために必要な病診連携や病病連携などを、今まで以上に進めていかなければならない。そして、市民が市立病院に何を望んでいるかを的確に把握しながら、市立病院の整理統合あるいは、指定管理や独立行政法人化を含む運営体制の見直しについて引続き検討していくことが求められる。
また、市立病院の改革・改善は、単に病院だけの問題ではなく、名古屋市における安心安全な生活の提供として取組む問題として認識されることが極めて重要である。そのためには、現在進めている西部医療センター中央病院(仮称)の整備に留まらず、東部医療センター中央病院(仮称)の施設の充実も進まなければ、市民の医療ニーズに沿った高度医療や救急医療に十分な対応はできない。平成22年度を目途とした市立病院整備基本計画のその後についても、早急に検討する必要がある。これら複数の観点を踏まえ、早急に中期経営プランを見直し、さらに名古屋市における市立病院のあり方を十分に議論し「公立病院改革プラン」を策定することが望まれる。
なお、市民が求める医療ニーズに社会環境等を踏まえながら、市立病院が的確に応えていくためには、名古屋市全体での定員管理の枠組みから一歩踏み出さなければ解決しないのではないか、との意見が、当委員会のなかで多く議論されたことを付け加えておくこととする。



名古屋市立病院経営改善推進委員会報 告 書
               平成17年7月
名古屋市立病院経営改善推進委員会 委員長 長 隆

<はじめに>
市立病院は、市民に良質な医療サービスを提供する使命とともに、民間病院が行いにくい高度・専門・特殊医療を提供する義務を負う。

その一方で緊迫した財政にあって「適正な利益を確保」した病院経営が求められる。

名古屋市立病院では、施設規模に違いはあるものの、開設以来、医療機器や施設の整備を図るなどして適切な医療の提供に努めるとともに、市民の医療ニーズに応え、地域医療において一定の役割を果たしてきた。

しかしながら、今日の少子高齢化の進行、疾病構造の変化、医療技術の進歩や医療情報の普及などに伴い、市民の医療ニーズはますます多様化し、かつ高度化しており、これまで以上により質の高い医療を提供する必要があることなどから、平成15年12月市立病院整備基本計画が策定され、市立病院の今後の目指すべき姿が示された。

一方、市立病院を取り巻く経営環境は年々その厳しさを増し、平成15年度末現在における累積赤字は57億円余、不良債務は10億円余となっており、市立病院整備基本計画を着実に推進していくためには、より実効性のある効果的な経営改善の必要性に迫られていた。

このような背景のもと、名古屋市から経営改善策についての検討依頼を受けた有識者で構成する名古屋市立病院経営改善推進委員会は、平成16年9月からその具体策の検討に入った。

検討にあたっては、医療と患者サービスの質の向上と経営改善を同時に進めることを前提とした。
また、市民に信頼され、必要とされる病院、職員の能力が発揮できる病院となるよう、

@目標と期限を定めた経営健全化のための計画を策定すること

A計画、プロセス、結果についてはすべて市民に公開すること

B努力した人が報われる組織を確立すること

C患者の権利を擁護し、医療の質を高めること
を基本的な考え方とし、これらを具体的提言に盛り込むことを念頭におき、検討を重ねた。

そして、計4回にわたる会議での議論と、個々での検討を重ね、ここに結論を得たので報告するものである。
この提言に示された方策を達成するためには改革が必要となる。

改革は、病院だけでなく、名古屋市の全ての関係者が「本気」にならなければ達成できないものである。市民の貴重な財産である名古屋市立病院の運営を今後も継続していくためにも関係者の真摯な取り組みを期待する。

1.機動的・弾力的・戦略的な経営を行うための体制・計画づくり

(1)地方公営企業法の全部適用の採用
・ 機動的、弾力的な病院経営を行うため、平成17年度を目標年度として地方公営企業法の「全部適用」を採用すること。

・ 全部適用採用後設置する事業管理者は、医学部長経験者や市立5病院の院長から立候補を求めるとともに外部から有用な人材の登用も考慮すること。

・ 目標達成した場合には給与等へ反映する業績評価制度を導入するなど努力した人が報われる仕組みを取り入れること。


(2)経営健全化計画(仮称)の策定

経営健全化に向けた具体的な目標とその達成年度を明確にした実効性のある計画を策定し公開すること。また、その計画の進行管理を毎年度行い、その達成状況や評価を公開すること。

2.病院ごとの柔軟な経営機能の確立

・ 各病院の予算編成、人事は病院長が権限と責任を持ち、予算達成できない場合は病院長を交代させること。

・ 病院長は、リーダーシップが発揮できる人材を登用すること。

・ 副院長3人体制とし、医師に限定せず登用すること。


3.市民が必要とする病院、特色ある、魅力ある病院づくり

・ 病院内の診療科名(「第一○○」や「第二○○」を廃止)を変更し、市民にわかりやすく表示すること。
・ いつでも安心して受診できる病院をめざし、3次救急の実施や小児・産婦人科医療の充実などを図ること。

・ 特徴のある病院をめざすために『総合診療科の設置』『日本一おいしい院内食』『アドボカシー室(患者相談室)の設置』『カルテの開示制度の徹底』など、具体的年度を設定し実施すること。

・ 高度医療、救急医療などに積極的に取り組み、全国の医師を始めとする医療関係者から勤務したい病院に選ばれるような魅力ある病院づくりに努めること。

・ 東市民病院は取得済みであるが、その他4病院は具体的年度を設定し財団法人日本医療機能評価機構の機能評価の認定を受けること。

4.市立大学病院との連携

市立病院整備基本計画においてグループ化を行い設置することとしている東部医療センター(仮称)、西部医療センター(仮称)は、市立大学病院との連携を行う一方、機能分化について検討を行うとともに、市立病院整備基本計画において市立大学との連携を強化するとしている緑市民病院は強化のための具体策を検討すること。

5.職員のプロ化、経営資源の有効利用

・ 麻酔専門医不足の現状に鑑み、人材の効率的な活用を図るとともに、その解消に努めること。

・ 外部委託契約について、可能なものはできるだけ早急に入札制度を取り入れ、競争性を高めること。

・ 医事などの事務職員が頻繁に交代するようでは健全経営の観点から問題も多く、病院組織の安定も図れないため、事務部門を専門化(人事異動の間隔を長く)すること。


6.収支均衡のための具体策

(1)必達目標の設定

・ 平成17年度の収支均衡をめざすとともに、平成20年度までに不良債務を解消すること。また、一般会計からの繰り入れ基準は明確にして公表すること。

・ 医業収益に対する人件費比率が45%程度となるよう努めること。

・ 病床利用率90%以上という目標を設定し達成するよう努めること。
 病床稼働率が80%以下となった病院にあっては、既存病床の削減などについても検討するとともに、1病棟分の空床(例えば1病棟50床)が生じたような場合においては、1病棟(50床)の閉鎖なども検討し、マンパワーの弾力的な運用を図ることも検討すること。


(2)診療単価増への取り組み

どの病院も患者紹介率が30%程度あることから、病診連携・病病連携の推進等に努め、急性期加算などを算定できるようにすること。

7.新たな経営手法の導入

職員すべての目的意識を明確にするとともに、経営に関する意識を一致させることで、意思決定が速やかに行えるような新しい手法を取り入れた仕組みを検討し、職員の日頃の努力を空回りさせないようにすること。

<まとめ>
以上のとおり、本委員会として提言するものであるが、名古屋市立病院はこれらの改善方策を実行し、業績順調な公的病院と同レベルの経営基盤を確立することが必要である。
そして、一般会計からの繰入金を適切に受け入れつつ、できるだけ早期に収益的収支の均衡を図るという条件を満たすことが、市立病院整備基本計画を着実に推進する上での前提となるため、改善方策の前倒し実施も検討されなければならない。

名古屋市立病院経営改善推進委員会要綱
(設置)

第1条 今日の人口の少子・高齢化、疾病構造の変化などに伴い、市民の医療需要は極めて多様化し、かつ高度化してきているとともに、名古屋市立病院(名古屋市病院事業の設置等に関する条例(昭和41年名古屋市条例第57号)第2条第2項に規定する病院、以下「市立病院」という。)を取り巻く経営環境は年々その厳しさを増している。こうした市民ニーズに的確に対応すること等を目的とし、市立病院整備基本計画を策定したところであるが、この計画を着実に推進し、より一層効率的な経営を行うため、名古屋市立病院経営改善推進委員会(以下「推進委員会」という。)を設置する。
(所掌事務)
第2条 推進委員会は、次の各号に掲げる事項を処理する。
(1) 市立病院の経営健全化に関すること。
(2) 地方公営企業法の全部適用の検討に関すること。
(3) その他経営改善全般に関すること。
(構成)
第3条 推進委員会は、原則として委員5名以下をもって構成し、委員は病院経営に関する専門的知識を有するとともに、市立病院の経営に関し適切な助言、意見等を述べることができる者とし、健康福祉局長が依頼する。
2 推進委員会に、委員長を置き、委員の互選により定める。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめ委員長の指定する者がその職務を代理する。
4 委員の任期は2年とする。ただし、再任されることができる。
(会議)
第4条 推進委員会の会議は、必要の都度委員長が召集する。
2 委員長は、必要があると認めるときは、会議の議事に関係のある者の出席を求め、その意見又は説明を聴くことができる。
3 会議は原則として公開とする。
(庶務)
第5条 推進委員会の庶務は、健康福祉局病院事業本部病院管理部病院管理課において処理する。
(補則)
第6条 この要綱に定めるもののほか、推進委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が推進委員会に諮って定める。
附 則
この要綱は、平成16年9月13日から施行する。
名古屋市立病院経営改善推進委員会委員
氏 名
所 属
備 考
稲垣いながき 春夫はるお
○トヨタ記念病院病院長
後うしろ 千代ちよ
○愛知大学経営学部会計ファイナンス学科
助教授
○名古屋市行政評価委員(平成16年度)
長おさ 隆たかし
○東日本税理士法人代表社員
(税理士・公認会計士)
○総務省地方公営企業経営アドバイザー
委員長
永井ながい 肇はじめ
○総合上飯田第一病院名誉院長
○名古屋市立大学名誉教授
(五十音順)
名古屋市立病院経営改善推進委員会の開催状況
回数
開催日
主な検討事項等
第1回
平成16年
9月13日(月)
○ 市立病院の概要と経営状況
○ 市立病院整備基本計画の概要
○ 市立病院における経営改善の取り組み状況
○ 地方公営企業法の全部適用
第2回
平成16年
11月8日(月)
○ 経営面における問題点の分析
○ 他都市における病院事業の運営形態に関する検討状況
第3回
平成17年
1月25日(火)
○ 市立病院における二次救急医療体制
○ 経営健全化計画の骨子(案)の検討
第4回
平成17年
4月26日(火)
○ 名古屋市立病院経営改善推進委員会報告書(案)の検討
平成17年7月22日(金)


○ 報告書の提出
<「報告書」に関する補足説明>

委員会からの「報告書」は別に簡潔にまとめたが、以下の事項については、委員会において幅広い議論がなされたことから、こうした考え方、要望等も「報告書」に含まれていることを理解していただくため説明を加えた。また、一部、用語についても説明しているので参考とされたい。

1 2.病院ごとの柔軟な経営機能の確立
<本文>

・ 各病院の予算編成、人事は病院長が権限と責任を持ち、予算達成できない場合は病院長を交代させること。
<説明>
予算編成、人事については病院長に権限を与え、病院ごとに柔軟な経営を行うという趣旨であるが、さらに柔軟な経営を行うためには、労働組合との交渉のあり方についても今後検討されたい。現在は、5病院全体に係る事項等について病院事業本部において交渉が行われているが、その交渉も病院長に権限を与え、病院長が行うことが望ましい。病院長は、共に経営に関わるという立場で責任を持って交渉し、議事録を作成し公開していくことが必要である。

2 4.市立大学病院との連携
<本文>

・ 市立病院整備基本計画においてグループ化を行い設置することとしている東部医療センター(仮称)、西部医療センター(仮称)は、市立大学病院との連携を行う一方、機能分化について検討を行うとともに、市立病院整備基本計画において市立大学との連携を強化するとしている緑市民病院は強化のための具体策を検討すること。
<説明>
市立大学病院とは機能分化・連携強化について検討を進める必要があるが、将来、市立病院との一体的な経営が可能かどうかについて、委員会を設けるなどして検討されることも考えられたい。

3 5.職員のプロ化、経営資源の有効利用
<本文>

・ 麻酔専門医不足の現状に鑑み、人材の効率的な活用を図るとともに、その解消に努めること。
<説明>
名古屋市立病院においては、正規職員としての麻酔科医師は5病院中、2病院に配置している現状である。麻酔科医師が不足している社会情勢を踏まえると、各病院に配置することは非常に難しいことから、在籍する病院だけの診療に限らず、必要としている病院へ出向き診療を行うようなシステム作りが必要である。ただし、過剰労働にならないような配慮も当然必要である。

4 6.収支均衡のための具体策
<本文>

(1)必達目標の設定
一般会計からの繰り入れ基準は明確にして公表すること。
<説明>
一般会計からの繰り入れとは、公営企業の収入をもって充てることが適当でない経費や、能率的な経営を行ってもなおその経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費などについて一般会計が負担するもの。現在は、地方公営企業法に基づき一般会計から繰り入れが行われているが、明確にするということは、それをさらに踏み込んで、繰り入れする事柄は何かということを具体的にすること。例えば、小児救急医療経費○○○円など、項目を具体的にし、繰り入れ額とともにホームページ等で公表する。

<本文>
・ 医業収益に対する人件費比率が45%程度となるよう努めること。
<説明>
医業収益とは:入院・外来など主たる医業活動から生じる収益をいう。
(一般会計繰入金は除く)
人件費比率(%)=職員給与費/医業収益×100 −

<本文>
(2)診療単価増への取り組み
どの病院も患者紹介率が30%程度あることから、病診連携・病病連携の推進等に努め、急性期加算などを算定できるようにすること。
<説明>
どの病院も紹介率が30%程度あり、個々の病院が単独で診療単価増に取り組んでいるものの、短期間でどの病院も収支均衡を図ることは困難なことから、市立病院整備基本計画で位置づけられている市立5病院が将来持つべき機能に着目し、その機能にあわせた取り組みを先行して進めること。市立病院整備基本計画を先取りして、5病院が連携し、一体となった取り組みを進め、人材の弾力的な運用などを図りながら、1病院でも2病院でも急性期加算を算定できるよう全体として収支均衡を図るシステムを構築することが必要である。また、病院単体における経営改善のための有効な取り組みは、一層のコスト削減を図ることであると考えられる。

5 7.新たな経営手法の導入
<本文>

職員すべての目的意識を明確にするとともに、経営に関する意識を一致させることで、意思決定が速やかに行えるような新しい手法を取り入れた仕組みを検討し、職員の日頃の努力を空回りさせないようにすること。
<説明>
目的意識の明確化や経営に関する意識の一致など職員等に対する内部的な取り組みとともに、市立病院の診療体制、取り組みを市民に周知する手法も検討する。現在、ホームページ等において一定の広報は行われているが、広報活動をさらに強化し、広く市民や医療関係者等に市立病院の取り組みを周知することが必要である。