![]() 『脱・PFI 高知医療センター再出発』(1) 壮大な実験 「互いに未熟だった」 2010.04.05高地新聞 県と高知市は高い理想に燃えていた。「この地域で一番の医療を提供しよう」 そのために医師、設備を充実させ、これまでにない高度医療体制を構築する―。だが病院運営は受付、会計、清掃、給食、診療器具や薬の調達など多方面にわたり、経営やサービス面を考えると軽視はできない。 県市は考えた。「医療以外の仕事は、まとめてその道のプロに頼んだ方が効率的では」 旧県立中央と旧高知市民の両病院を統合し、2005年に開院した高知医療センター(同市池)。県市がその経営手法として導入したのがPFI(官による民間資金とノウハウの活用)だった。 公立病院の医療行為以外の業務。従来は個別に外部発注していたが、それを一括して長期的に一つの企業に委託する。そうやって民間ノウハウをフルに活用できれば業務経費は節減でき、開業の資金調達や病院建設も任せた方が得、との胸算用もあった。 委託先の募集には4グループが手を挙げてきた。中でも金融・不動産業のオリックス社を中核とするグループの提案は「低コストかつ高サービス」をうたい、魅力的に映った。 官民の新たな関係も期待された。この仕組みは「民は官の仕様書通り業務をこなす」との旧来の形ではなく、「民が『意志』と『ノウハウ』を持ち、官に主体的に関与する」のが前提。「主従」から「パートナー」へ、との触れ込みだった。 業務経費とは別に、企業ノウハウ代として多額のマネジメント料の支払いを要したが、県市は「それに見合う効果があるはずだ」。医療センターが全国で初めて導入した病院PFIは「壮大な実験」と、県内外の耳目を集めて船出した。 「約束が違う」。鳴り物入りで採用されたPFI。だが、開院後すぐ官と民の関係はぎくしゃくし始める。 「公共単価に縛られず資材を安く調達できる」「職員が頻繁に入れ替わる県市とは違って人材が育つ」…。さまざまな効果が期待されながら、現実の経営は見通しより悪化。官は民を「ノウハウ不足」と責め、民は「責任転嫁だ」と不満を募らせた。 そして開院わずか5年…。 「最初(契約作成時)の詰め不足」。いま官民ともに「互いに未熟だった」との認識を隠さない。官側はこうも続ける。「それでも、力を合わせて問題を解消する方向に進めばよかったが、材料費問題、この溝が大きすぎた」 ◇ 本県の地域医療の拠点、高知医療センターが4月、PFIを解消し、官直営で再出発した。なぜPFIは機能しなかったのか。解約で経営は改善され、県民の不安解消は図れるのか。PFIの「跡」と「後」を追った。(本紙取材班) |