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NHK 近江八幡 病院PFI報道
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東京日和@元勤務医の日々
元勤務医が医療について考えています。

2008/01/31 23:30
 
PFIというと・・・あの高知医療センター に加えて、近江八幡市民病院でもPFI病院は赤字のために、失敗してしまいましたが、2002年の段階ですでに、失敗を予言するようなレポートが提出されていました(NTTデータ経営研究所)。

今後、公立病院の民営化の枠組みで、医療機関のPFIとなるものは少ないというよりは皆無だと思います(あのオリックスでさえ・・・ダメでしたから)が、やはりここはどうしてこういう失敗に学ばないのか不思議でなりませんね。
まぁ、終わったことは仕方ありません。別にPFIに限ったものではありません。アメリカの医療についても「真似」すればうまくいくところもあるでしょう、ただし、医療費削減となるよりは、逆に格差が広がるでしょうね

   イギリス病院PFIの課題に学ぶ「日本版病院PFI」

イギリスの病院PFIの現状

PFI導入の背景
イギリスの保健医療サービスは、主にNHS(National Health Service)と呼ばれる国営のサービスにより提供されている4。1992年以降、民間活力を取り入れた大規模な制度改革5が あったものの、基本的枠組みは税金を財源とする国営事業となっている。

このため、国民医療費の増大はそのまま国庫を圧迫する要因となり、1990年代に は、この医療費削減が政府にとって急務の課題となっていた。その一方で、老朽化した病院施設に代わる新しい病院の整備需要も高まっており、これら両方の需 要に応える解決策として、PFIによる病院整備が推進されることとなったのである。

1997年以降、英国政府の病院建設プログラムが始まってからは、新規大病院整備の約85%はPFI化しており6、2001年にNHSが発表した計画によると、2010年までに、イギリスは、PFIによって合計£70億(約1兆3千億円)規模の病院整備を行う予定にしている


イギリスの病院PFIの課題

こ のように、政府による強力な後押しのもと、華々しくスタートしたイギリスの病院PFIであったが、実際にプロジェクトが開始し、PFIによって整備された 病院が開院するにしたがって、幾つかの課題が明らかになってきた。その中でも、特に重要視されている課題は次の5点である。

【課題(1)】プロジェクトの遅延

1997年に、労働党ブレア政権は、31の病院を、3つのシリーズに分けてPFIで整備することを発表した。いわゆる「ファースト・ウェーブ」、「セカンド・ウェーブ」、「サード・ウェーブ」である。
「ファースト・ウェーブ」と呼ばれるシリーズ第1弾では、14の病院がPFI手法で整備されることとなった。次の第2弾「セカンド・ウェーブ」(98年)では、10の病院、さらに「サード・ウェーブ」(99年)では、6の病院PFIが加わった。
これら3つのシリーズのうち、「ファースト・ウェーブ」の6プロジェクト、「セカンド・ウェーブ」の全プロジェクト、そして「サード・ウェーブ」の2プロジェクトで遅延が生じており、2002年初めには、31の病院PFI案件中、9つの病院しか実際には開院していない。
また、31の病院PFI案件のうち、18の案件について、建設開始時期に遅れが生じており、しかもその遅れも平均1年と長期間に渡るものとなっている。
この遅延の原因としては、PFIに特有の発注手続きの複雑さが最大の原因とされており、この複雑さゆえ、発注ステップの各段階で様々な交渉を必要とし、従来型の公共事業よりも時間がかかる結果となっている。

【課題(2)】高額なPFIアドバイザリー費用

最初の18件の病院PFI案件においては、合計£5,300万(約100億1,700万円)もの費用がPFIアドバイザーに対して支払われた。
プロジェク ト1件あたりに占める割合としては、2.8〜8.7%と幅はあるものの、1件あたり平均£290万(約5億5,650万円)と大変高額である。

これは、公共側が民間事業者と契約を締結する際に、様々な専門知識が必要となるにも係らず、公共側に専門家が少ないことから、コンサルタントをはじめとす る弁護士や会計士等のアドバイザーに頼らざるを得ないためであるが、現在でも、契約書を読むためだけに弁護士が高額で雇われるなどこの傾向は続いている。

【課題(3)】病床数の削減

PFIによる新病院整備の結果、以前の病院よりも急性期病床が20〜40%削減されるなど(ファースト・ウェーブ)、病床数が大幅に削減されている。
イギリス保健省は、これは政府の病床数削減政策の一貫であり、医療の高度化の賜物でもあるとしているが、NHS病院の1床あたりの平均患者数(57人/ 年)に比べて、PFIによって整備されたWorcester病院では、100人/床・年となっているなど、実際医療の現場では、明らかな病床不足に悩まさ れている。このことにより、イギリスのPFI整備病院において、手術待ちで1年以上待たされる患者数が劇的に増加しているともいう。

特に問題視されているのは、急性期病床が削減されている点である。病床数全体で見るとそれほど削減されていない場合でも、実際には急性期病床が削減され、 その分をより管理費の安い「中間的」病床(慢性期型)で補っている例もある。このようにPFI整備病院において急性期病床が大幅に削減された結果、救急・ 急性期疾患の患者に対し十分な対応ができなくなっていることから、病院内外からの不満が相次いでいる。

【課題(4)】医療スタッフのレベルの低下

イギリスの病院PFIでは、PFI案件を受注した民間事業者が高額のアドバイザリー費用を上乗せするため、契約時において、VfMが確保できないという状況が起きている。
特に最初の14件の病院PFI契約においては、契約金額が、民間事業者が当初提示していた金額より、平均72%も増額していたという。
このためNHSトラ ストは、PFI事業者に支払う契約金を確保するための経費削減策の一貫として、医療スタッフ(特に看護スタッフ)の人数カットを実施することとなった。

看護スタッフの中でも、特にカットされたのは人件費の高い認定看護婦であったため、これらの高い技術を有するスタッフの減少により、そもそもの看護要員不足だけでなく医療の質の低下も招いたとされている。

下表5のとおり、認定看護婦の人数を削減する代わりに、「Team Assistant」「Team housekeeper」と呼ばれるスタッフ(看護婦ではない)を雇用し、人数だけは数%増加した形となっているが、認定看護婦等の専門医療スタッフにつ いて見ると、その人数削減は明らかである。

【課題(5)】質の低い病院施設

病院施設の整備を民間事業者に任せるということは、当然、民間のノウハウを活用し、質の高い施設が完成するものと想定されるが、既に開院した6つのPFI整備病院のうち、3つの病院では、施設の欠陥により医療サービスの提供に悪影響が出ているとの批判がある。
NHSトラスト側は、この種の問題は新病院を整備した際にはどこでも起こり得る「初期的」問題であるとしているが、開院するPFI整備病院において、これ らの問題が次々と起きたことが人々に不安を与えており、そもそものPFI契約自体に問題はなかったのか、病院PFIのスキーム自体に問題がなかったのかと いう声も一部に出ている。
(中略)


今まさに日本版病院PFIは導入時期を迎えている。先の先行事例2例の他にも、島根県の「県立こころの医療センター(仮称)」がPFIによる建替え方針を 打ち出すなど、全国で約40もの公的病院が、現在PFIによる整備を検討中である。

この導入の時期であるからこそ、何のための民間活力導入なのか、何のた めの効率化なのかということに常に立ち戻って考える必要がある。そしてその際に、イギリスのような先行事例に学ぶべき点は多い。

本稿では特に課題を中心に取り上げたが、イギリスの病院PFIから学ぶべきことはその問題点だけではない。あらゆる意味で先行する同国の事例を参考とする ことで、日本独自の病院PFI手法を生み出し、医療サービスの向上を実現することが、日本版病院PFIの成功には不可欠の要件であると考える