「事業仕分け」 誕生の裏事情・・・ 民主党は、2009年4月から6月にかけて、「構想日本」の協力を得て、各省に資料要求をしたうえで、独自の事業仕分け作業を実施した。政権交代後の「予行演習」を狙ってのことだった。 だが、加藤氏(行政刷新会議事務局長)からは、松井氏(官房副長官)に、こんな苦言が届いた。「民主党の議員は不勉強で、官僚への質問も甘い。腹をくくっていない」・・・・ 行政刷新会議は、来年の事業仕分けを一一年度予算の概算要求作業が始まる前、五月の大型連休前後に行い、九十八の独法や政府関連の公益法人も対象にする方針・・・・・・ 元官僚「仕分け」を陰で推進…鳩山政権100日 民間からの知恵を借りて、各省の予算に大なたを振るった「事業仕分け」作業――。鳩山政権の看板政策を陰で推進したのは、元官僚の松井孝治官房副長官(49)だった。(2009年12月26日 読売新聞) 松井氏が愛用しているノートパソコンには、自らが6年前に起案した「民主党政権100日改革プラン」の草稿が大切に保存されている。 〈首相直属のもと、民間人をヘッドに強力な「行政評価会議」を設立する。既存政府施策の必要性、内容の可否などについてゼロベースで検証する〉 2003年11月の衆院選直前に、菅直人代表(現・副総理)時代の民主党政権準備委員会が作成したものだ。旧通産官僚で、01年の参院選で初当選した松井氏は、「橋本行革」に取り組んだ実績をかわれ、作業に携わった。 その後、松井氏は、旧知の加藤秀樹「構想日本」代表(59)が「事業仕分け」を行うことを提唱し、岐阜県など地方自治体で実績を上げていることを見聞きし、国の予算でも、事業仕分けの手法を採り入れたいと、思うようになったという。 民主党は、今年4月から6月にかけて、構想日本の協力を得て、各省に資料要求をしたうえで、独自の事業仕分け作業を実施した。政権交代後の「予行演習」を狙ってのことだった。 だが、加藤氏からは、松井氏に、こんな苦言が届いた。 「民主党の議員は不勉強で、官僚への質問も甘い。腹をくくっていない」 衆院選での政権交代が視野に入った夏のある日。松井氏は、鳩山首相の側近として知られる民主党の平野博文・役員室担当(当時。現・官房長官)を加藤氏に引き合わせた。 民主党の政権公約(マニフェスト)に盛り込んだ重要政策の財源を生み出すためには、首相直属の強力な力を持つ行政刷新会議を設置し、予算に切り込むしかない。そのためには、同会議に「元祖事業仕分け」の加藤氏の力を借りようと考えたのだ。 「この方ならいいんじゃないか」 平野氏の言葉に、松井氏はほっと胸をなで下ろした。 政権発足後、松井氏は、官房副長官として、重要政策の調整に奔走し、事業仕分けに関する事務作業からは手を引いた。代わって、大きな役割を果たすようになったのが、行政刷新会議の事務局長に就任した加藤氏ら構想日本に連なる人脈だった。 事業仕分けの判定で使用する対象事業の目的などを記した「事業シート」を中心になって考案したのは、構想日本の「仕分けチーム」メンバーで政府の仕分け人にも選ばれた小瀬村寿美子・厚木市人権男女参画課長(50)だった。自治体で実施した事業シートを国用に応用した。外部の知恵が生かされたわけだ。 だが、仕分け人の中に、結果として、構想日本の関係者が増えたことには、「仲の良い人を集めただけのサークルではないか」との指摘も出ている。 政府が、仕分け人を「官職ではない」と説明して、制度上の位置づけや権限を明確にしなかったことも混乱に拍車をかけた。 仕分け人のひとり、横浜市立大の南学・学務教授(56)は、「選挙で選ばれた国会議員や、国家公務員試験を通ってきた官僚は、それぞれちゃんとした基盤がある。それに比べて、民間からの仕分け人は、どこの誰が、どういう基準で選んだのかが分からない。それが一番気になるところだった」と振り返る。 理念だけが先行して、手続きや制度は後から考える――。松井氏の「7年越しの夢」は鳩山政権の手法のまずさも浮き彫りにした。 (2009年12月26日03時04分 読売新聞) 独法など標的 GW前後に仕分け 無駄一掃 来年が正念場 2009年12月29日東京新聞 行政刷新会議の「事業仕分け」は来年、正念場を迎える。二〇一〇年度予算編成に際しては、九十五兆円に上る概算要求を三兆円削減する目標に遠く届かず、「税金の無駄遣い一掃」は道半ば。二年目の仕分けは独立行政法人(独法)と政府関連の公益法人を天下りや無駄遣いの温床とみて標的にする方針だ。 鳩山首相は一〇年度予算案について「事業仕分けの結果は大半が予算に反映された」と強調している。同時に切り込むべき無駄はまだあるとして、来年も事業仕分けを行う考えだ。 今年の事業仕分けは約三千ある国の事業のうち約四百五十を対象に、十一月に計九日間にわたって実施。国民の注目を集めた。 仙谷由人行政刷新担当相は仕分け結果を踏まえ、対象外の事業も同じ視点で横断的に見直す「横ぐし」を刺すよう各省に指示したが、歳出削減効果は約七千億円にとどまり、このうち横ぐし分はわずか一千億円だった。 政権発足が九月半ばだったため、予算編成の日程が窮屈で、事業仕分けに十分な期間を取れなかった事情はある。だが、来年は同じ「言い訳」は通用しない。 行政刷新会議は、来年の事業仕分けを一一年度予算の概算要求作業が始まる前、五月の大型連休前後に行い、九十八の独法や政府関連の公益法人も対象にする方針だ。予算が現場に行き渡る前に、事業を受注した各省関連法人によって「中抜き」される構造が、今年の事業仕分けで明確になったからだ。 政府は二十五日の閣議で、独法と政府関連公益法人が実施している事業の見直し基準として(1)民間企業の参入を阻害している(2)地方自治体で類似の事業を行っている−などを決定。行政刷新会議は年明けから、事業仕分けに向けて基礎調査に着手する方針だ。 公益法人のうち、国家公務員OBが在籍する政府関連法人は、約三千六百に上るとされる。すべてを仕分け対象にすることは物理的に困難だ。無駄遣い一掃の成否は、結局は各省に「横ぐし」作業をさせる政治指導力にかかってくる。 (上坂修子) |